三体
空の果てに連なる山の尾根から、太陽が完全に顔を出した。電波が届くのにかかる時間を考慮して、文潔は紅岸アンテナ照準装置のクロスヘアの中心を、太陽のてっぺんに合わせた。送信システムはすでにウォームアップが終わり、いつでも動かせる状態になっている。
送信ボタンは長方形で、パソコンのキーボードのスペースキーによく似ているが、色は赤だった。
文潔の指は、そのボタンから二センチメートルのところにあった。
全人類の運命が、この細い二本の指にかかっている。
文潔は、ためらうことなく送信ボタンを押した。(p303)
監視員は操作スクリーンに飛びつくと、コンピュータ上でシンプルな短いメッセージを書き、コンピュータに指示して、受信した地球のメッセージと同一の言語に翻訳させた。それから、監視ステーションの送信用アンテナを、異星文明のメッセージがやってきた方向に向けた。送信ボタンは長方形で、色は赤だった。監視員の指は、そのボタンから二センチメートルのところにあった。
三体文明の運命が、この細い二本の指にかかっている。
監視員は、ためらうことなく送信ボタンを押した。短いながらも、おそらくもうひとつの文明を救うであろう情報を載せた高出力の電波が、暗黒の宇宙へと送信された。(p388)
先に個人的に高評価ではない部分から.
結局異星人のびっくりアイテムによって人類は踊らされているだけだったという部分.
最初に私がわくわくさせられたのは主人公の写真に突如現れた謎のカウントダウン.そして次に面白いと思ったのは三体というゲームの世界.
双方とも途中までは面白く読んでいたがカウントダウンは結局異星人のびっくりアイテムによって見せられたいたずらでしかなく,三体ゲームは最後「こうして他の星を目指す旅に出たのであった____完.」というような終わり方.
結論に面白さを見出せなかった.
しいて言えば設定は面白いと思った.
そしてこの世界が壮大だということは分かった.
ただただ壮大だということしか分からなかったと言ってもいいほどにとてつもない広がりを見せられた.
ではこれはワイドスクリーンバロックかときかれたら,それならもっとエンターテインメントに振り切れていてほしいと思った.
いや,いずれにしても第二部第三部でどう話がひっくり返って展開するのかは分からない.
しかしこの文量があと4冊もあると思うと気が重い.
次は何を読もうか.三体のⅡではないことだけは確かだろう.
追記
訳者あとがきで本書を絶賛されていたがガン萎えした.
「いやもう、とにかくすごいんだから!」
もう少し論理的に言えないものか.
それではネタバレになるから...という意見に対して,このあとがき,とんでもないネタバレぶち込んでて本当に笑えない.呆れも呆れ,憤りを覚える.
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