デボラ、眠っているのか?
僕たち現代人の多くは、長い寿命を得た。死なないことが当然であるかのように認識していて、そういった本来の生というものを、すっかり忘れている。彼女たちはウォーカロンだが、新しい細胞を受け入れないので、躰のすべての機能は劣化する。寿命がくれば自然に還る。むしろ、彼女たちの方が生き物らしいといえないだろうか。
僕がぞっとしてしまったのは、つまりは、生きるものの恐さ、死の恐さ、そして、自分たちが本当に生きているのかどうか、という疑問がもたらす恐怖だった。
もしかして、既に反転しているのではないか、と気づいた。
(p174)
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